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詩は世界をつなぐ~フランス・ポエトリーリーディング見聞録~第13回

2015-04-30

こんにちは。村田活彦です。フランス・ポエトリー紀行、前回のアヴィニョンからふたたびパリに戻り、詩のマルシェをご案内しましょう。

パリ6区、サン・ジェルマン・デ・プレとリュクサンブール公園の中間あたりにサン=シュルピス(Saint-Sulpice)教会があります。あの『ダヴィンチ・コード』にも、重要な鍵が隠された場所として登場するところです。そしてその教会の正面にあるのがサン=シュルピス広場(Place Saint-Sulpice)。私が滞在していた5〜7月には、アートや文学系の即売会、イベントが毎週行われていました。たとえば今週は写真の展示即売会、そのあとはアートの展示会、そのあとは古本市…といった具合。

さてそんなサン=シュルピス広場で6月11日から開催されていたのがマルシェ・ドゥ・ラ・ポエジー2014(Marché de la poésie)つまり詩のマルシェ。なんと32回目だそうです。地下鉄サン・ジェルマン・デ・プレで降りてボナパルト通り(Rue Bonaparte)をまっすぐ南下していくと…おお。週末でいい天気ということもあり、結構な人出です。

広場の真ん中には池とモニュメントがあるのですが、それが見えなくなるくらい白いテントが立ち並び、出版社ごとに詩集の販売をしています。東京・神保町の古本まつりにも少し似た雰囲気。ただし、扱っているのがすべて新刊の詩集というところがすごいですね。さすが芸術の都、ポエジーの街というべきか。

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並んでいるのはほとんどがペーパーバックです。そもそも欧米の書店ではペーパーバックが圧倒的に多いですが、詩集が手軽に手に取れるのはいいですよね。可愛い装丁のものも多くて、見ているだけでも楽しいものです。プロモーションのためか、ブース前で朗読を披露している詩人もいます。

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なかには朗読CDを売っているブースも。写真にあるのはフランソワーズ・サガンの自伝ですね。ポストカードのほうは、読み聞かせCDを売っていた出版社ブースで買ったもの。挿画イラストだと思うのですが、どういう物語なのか、想像をかきたてられます。

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詩人や文豪のバッジを売っているブースもありました。ビクトル・ユゴー、エミール・ゾラ、ボードレール、ヴェルレーヌ、レオ・フェレ、ジャック・ブレル…などなど。レオ・フェレとジャック・ブレルはシャンソン歌手としても有名ですね。ボードレールの目つきが怖い! 1個1ユーロ、3個で2ユーロ。お土産にぴったりなので思わず買い込んでしまいました。

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個人的に気になったのがこれ。この紐に吊るされている小さな手作り冊子は「コルデル」といって、ブラジル北東部の版画付き詩集にインスパイアされたものだそうです。そもそも「コルデル」というのは、ヨーロッパの吟遊詩人文化がブラジルに伝わった結果として生まれたものなんですが、それが「里帰り」しているのが面白い。中身は版画によるシュールな物語でした。

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こちらのワニの絵本「Crocobis à Paris」も可愛くて思わず買ってしまいました。著者はRyota Murakami、日本の方のようですね。会場を歩いているとなんだかんだと買いたいものが増えてきて困るぞ!

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広場の中央に行ってみましょう。噴水のそばにステージテントがあって、朗読会や座談会、ミニライブなどが行われています。フランスの詩人はもちろん、今回はアフリカや中国の詩人も多く招待されていました。またこのイベントがアフリカ・コンゴの文学フェスと共催らしく、コンゴのミュージシャンやダンサーも登場して賑やかです。

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わたしが行った時は、中国から招待された詩人が何人か登壇していました。中国語で朗読して、それを司会者がフランス語訳でもう一度読んでいます。あいかわらずフランス語も、もちろん中国語もわからないのですが。

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ステージのあと図々しくも挨拶しに行き、おそるおそる英語で話しかけてみます。詩人のお一人、太阿さんは深圳から来られていて、苗(ミャオ)族出身だとか。苗族の文化に興味があったこともあり、少し話し込んでいたら分厚い彼の詩集をいただきました!  嬉しい! 名刺もいただいたのですが、肩書きにある「菫事長」ってなんだろうと思っていたら「社長」だそうです。『釣りバカ日誌』か『サラリーマン金太郎』かよ。

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会場から少し外に出てみましょう。並んだテントの裏側で、詩のパフォーマンスをしている人たちがいます。ノースリーブでロン毛のおじさんが、なにやら情熱的に詩を詠唱中。その手前では、シュッとした感じのお兄さんがタイプライターを前に座っています。机に貼られた紙には“Poète Public”と書いてある。“téléphone public”が公衆電話だから、さしずめ「公衆詩人」ということか。「お題をもらって詩を書きます」ってことでしょうね。かと思えば、手作りの特大メガホンで叫ぶ詩人もいます。通行人が華麗にスルーしていきます。この自由さ加減が、やっぱりフランス。

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さてそんな詩のマルシェ会場で、気になるパンフレットを見つけました。“Festival de poèsie Lodève”と書いてあります。ん? 詩のフェスティバル? 7月16日から5日間? そんなものがあるのか! Lodèveというのが町の名前らしいけど、ロデーヴってどこ!?

めちゃめちゃ気になってきたところで、また次回。À bientôt!

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