5月26日、パリ11区。時計は夜8時だけど、こちらではまだまだ明るい時刻。
地下鉄3号線Parmentier(パルマンティエ)駅で降りてAvenue Parmentier(パルマンティエ大通り)を北に向かい、最初の交差点で左折するとそれがRue Jean-Pierre Timbaud(ジャン=ピエール・タンボー通り)。そのまままっすぐに歩いていくと左手に黒い壁のカフェが見えてきます。ドアのガラスに描かれたロゴはDOWN TOWN CAFÉ(ダウンタウン・カフェ)。そして入口の脇にある黒板にはチョークでSLAM(スラム)と書かれてあります。店のなかはすでにひとでいっぱい。カウンターもテーブル席も、ひとつだけ置いてあるソファも満員、立ち見のお客さんもいて通路もないくらいです。70〜80人もいるでしょうか。それも黒人白人アジア系、若者からご年配まで様々です。そんな熱気の中にいて、私は緊張のあまり心臓がどんどん早くなっていくのを感じていました。間もなくここで、詩の朗読会がはじまるのです…。
はじめまして。
村田活彦と申します。ポエトリーリーディング(詩の朗読)をやっています。縁あってしばらくエッセイを書かせていただくことになりました。せっかくフランス語の本をたくさん出されている駿河台出版社さんのサイトなので、「フランスとポエトリーリーディング」というテーマで書こうと考えています。
というのも、実はフランスは日本やアメリカと比べても特にポエトリーリーディングが盛んな国なんです。ポエトリーリーディングのことをフランスではSLAM(スラム)といいますが、コンサートホールを満員にしちゃうようなSLAMアーティストもいるくらい。
私自身、昨年の5月〜8月にフランスを訪れ、パリはもちろん各地でポエトリーリーディングを体験してきました。次回以降、まずはそんな体験談からご紹介していこうと思います。フランスやフランス語への興味をより深めていただくことにつながれば幸いです。
ではまた。À bientôt!
楽しみです。
ありがとうございます!ご期待ください!